動物園の思い出

「人間は昔みんな猿だったんだよ。」

母親からこの言葉を聞いた幼稚園児の私は、動物園にいるようなニホンザルが人間になるのだと思っていました。生粋のアホであった私は「自分が動物園にいた時のこと全然思い出せないな」とか思っていました。

ある日、ふと「猿が人間になる瞬間を見てみたい!」と思った私は、親に頼んで動物園に連れて行ってもらいました。動物園に着くやいなや猿山の前に座り込み、猿が人間になる瞬間を待ち望んでいました。猿が人間になると信じて止まない私は、ずっとずっとずっとずっと日が暮れても、動物園が閉園しても、次の日になっても、次の次の日になっても、次の次の次の日になっても、ずっとずっとずっとずっと猿山の前で待ち続け、遂には餓死してしまいました。本当にアホみたいな話ですが、当時の純粋さは、今思えば可愛いものですよね。