中学時代の部活の楽しい思い出

私は中学生の頃、ソフトテニス部に所属していました。地元では負け知らずの強さを誇っていた我が部の顧問は非常に厳しく、毎日毎日怒鳴られながら練習していました。1年を通して部活が休みの日は、お盆の3日間と年末から年初にかけての5日ほどだけでした。多少の体調不良では練習を休む事も許されず、遅刻なんてもってのほかでした。

とある夏休みの朝、友人であるトオルが部活に遅刻してきた事がありました。「これはまた怒られるぞ…」と思って身構えていたのですが、顧問はどうやらトオルをとても褒めている様子。理由を聞くと、トオルは練習へくる途中に車に轢かれて瀕死になっている猫を動物病院まで届けていたそうです。この行動には流石の顧問も感服した様子で皆の前でトオルを褒めました。

翌日からはしっかりと時間通りに来ていたトオルでしたが、その日を境に練習開始ギリギリに来るようなった友人がいました。その友人はリョウヘイと言います。リョウヘイは人一倍真面目に練習をしていましたが、中々上達せず、毎日顧問から怒られていました。また、リョウヘイは凄く大人しく、顧問もそれにつけ込んで何かあるたびにリョウヘイにキツく当たっていました。そのリョウヘイが時間ギリギリに来るようなるなんて何かがおかしいと思った私はリョウヘイに理由を聞くと「死にかけの動物を助けたら遅刻が許されるから、通学路で死にかけてる動物いないか探してるんだ」と答えました。至って真面目な顔で言うので私は呆気にとられて何も言い返せませんでした。

リョウヘイが練習開始ギリギリに来るようになってから1週間ほど経ったある日、遂にリョウヘイは遅刻してきました。リョウヘイは「遅刻してすみません。でもちゃんと理由があるんです。実は学校に来る途中に猫が轢かれていて…ほら!これ見てください!」と笑顔で言い、猫の死体を皆にかがげて見せました。

どうやらリョウヘイの中でいつの間にか動物を助けると言う目的がすり替わってしまったようでした。リョウヘイのこの行動には顧問も何も言う事ができず、ひとまずリョウヘイを家に返しました。

この日からリョウヘイは週に1回ほど猫や犬の死体を持って遅刻して来ました。心配した顧問がリョウヘイの両親を呼んで面談を行ったのですが、何があったか、その日からリョウヘイは学校に来なくなってしまいました。

この時期から学校付近の家で飼われているペットが失踪する事件が多発するようになりましたが、一体何か原因があったのでしょうか。